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2014年05月24日
DIフィルターの必要性について
DIフィルターというフィルターがあります、日本で言うところのイオン交換樹脂フィルターなのですが、より純度の高い純水を求めるお客様が逆浸透膜式の浄水器へDIフィルターを設置したいとご希望される事があります。
DIフィルターは水中のイオン性物質をイオン交換に依って樹脂表面に吸着します、交換した時に樹脂から放出される水素イオンと水酸基イオンは化合してH2O(水)となりますので、より純度の高い純水が出来ます。蒸発残留物濃度の簡易測定に使用するTDSメーターでは浄水の不純物濃度0ppmを表示する事も珍しくありません。
但し吸着除去の為に樹脂が吸着出来るイオンの量は少なく、いきなり水道水を通せば直ぐにフィルター寿命が尽きてしまいます。逆浸透膜でイオンを除去した後の僅かな残留イオンを吸着させる様な条件で使用すれば、小さなフィルターでも必要十分な効果が得られます。
以前は海水魚と一緒に珊瑚を飼育されているお客様が水槽に使う水に、より万全を期すためにDIフィルターを装備されるケースが殆どでしたが、現状では放射性物質の除去を目的としてDIフィルターを導入したいとおっしゃる方が増えてきました。
逆浸透膜浄水器での除去率は100%ではありません、平均的に95%と考えると、元々水道水の中に含まれていた放射性物質が、5%浄水へ残留する計算ですので、その5%を何とかしたいとお考えになっている訳です。
弊社で在庫しているDIフィルターは逆浸透膜浄水器に使用しているポストカーボンフィルターと同サイズですのでTDS5ppmの水に対して約1000㍑の寿命を想定していますから、毎日10㍑の浄水を使用すると約3ヶ月のフィルター寿命となります。
弊社では水道水に含まれる放射性物質の量は元々少量である事、それから95%除去した残留放射性物質は非常に微量ですから、それを除去する為にコストを掛ける事が必要なのかどうかと考えると、そこまでする必要はないのでは、とお客様にご回答していました。
一方で放射性物質を少しでも体に入れたくないと考えればDIフィルターを求めるお気持ちも判りますし、小さなお子さんがいらっしゃれば尚の事でしょう。
実は最近、浄水器のメンテナンスにお伺いしたお客様からDIフィルターについての情報を頂きました、アクアカルテックの逆浸透膜浄水器へ別の業者さんからご購入されたDIフィルターを設置されているお客様からお聞きしたお話です。
お客様のDIフィルターは弊社で扱っているものより一回り大きなサイズで使用期間を9ヶ月に設定されているのでが、9ヶ月使用後のDIフィルター内部のイオン交換樹脂で放射線測定をされた方がいらっしゃるそうです。
結果は17ベクレル/kgとの事です、毎日10㍑の浄水を9ヶ月使用したと想定すると、10㍑×30日×9ヶ月=2,700㍑の通水となります。フィルター容量から推定してイオン交換樹脂を500gと仮定すると、フィルターにキャッチされた放射性物質は17ベクレル÷2=8.5ベクレル。
8.5ベクレル÷2,700㍑=0.00314ベクレルとなります。浄水器を通過する前の水道水には95%の除去率から逆算して20倍の濃度となりますので、0.062ベクレルの放射性物質が存在した事が推定されます。
でも、待ってください、この計算で良いのかな.....ちょっと自信がありません、放射線測定を行う時のイオン交換樹脂が湿潤状態であったか、乾燥状態であったかに依ってもkg当たりの数値が変動すると思われますので、いずれにしても非常に低レベルの放射線量だと考える事が出来ます。
ここで非常に微量だからDIフィルターは必要ないと結論づけるのでは無く、ハッキリとDIフィルターが仕事をした結果が放射線検出という確かな形で確認出来た事に注目したいと思いました。
現在も計量下限値以下の微量ではありますが、放射性物質が水道水に混入している事が、9ヶ月の使用期間を経て確認出来た訳です。今の水道水の状況ならDIフィルター不要と考えますが、震災直後には水道水で200ベクレルを超える放射性物質が検出されましたし、その場合逆浸透膜浄水器でも10ベクレルの放射性物質が浄水に残留する勘定です。
10ベクレルでも低い量ではありますが、それについてどの様に考え行動するかは人により異なるでしょう。危険と判断する人にとっては万一の備えとしてDIフィルターも必要な装備と考える事が出来ます。一方で問題点としてはDIフィルターに放射性セシウムが蓄積されれば、放射線はγ線ですので透過力が強く、フィルターから放射線を発する事になります、僅かな放射線でも除去しようと行動する人にとっては看過出来ない部分かもしれません。
極論を言えば、放射線については数値が解ったところで安全範囲の閾値が判らないのだから、僅かでも避ける方策を考え行動する方もいらっしゃると思いますが、数値が解る事によって小さな数値を追いかけるよりも、より効果のある部分へ注意を向ける判断をされる方も多くいらっしゃると思うのです、放射性物質が混入するのは水だけでは無いのですから。
アクアカルテック
投稿者 aqua : 2014年05月24日 10:32