なぜ高性能な逆浸透膜式の浄水器が日本で普及していないのですか?

海外と日本との水道事情の違い、それに求められる浄水器の性能

日本と海外では水道事情が違っていました、日本の水道は安全でそのまま飲める事が前提ですから、より美味しく飲むために不快な臭気や残留塩素を除去することが浄水器の目的で充分でした。

一方、海外では水道水をそのまま飲めない地域も多く、ボトルウォーターの安全を買ってきました。そのような地域では安全のための浄水器ですから95%以上の除去率であるとか、確実な性能を持って、ボトルウォーターと同等品質の安全な水を造れなければ浄水器としての意味がないのです。

優れた日本の浄水設備も100%安全とは言い切れず、水道水の放射性物質などの問題を経験した私達が水の安全を考えた時、逆浸透膜浄水器は自分で安全な水を確保する為の最良の浄水器です。

高性能だけど、取扱が難しい逆浸透膜浄水器

日本で主流の浄水器といえば精密ろ過膜+活性炭の簡易タイプですが、少し高級な浄水器といえばテレビ番組などでも盛んに紹介された、円筒形のメタルケースでできた外国製の浄水器などが一般的です。

フィルターケースにカートリッジが入っている単純な構造の浄水器、販売側から見ればこれは非常に売りやすい商品で有ることが判ります。設置後の管理も定期的にフィルターを販売するだけ、フィルター交換も大部分がお客様まかせとなります。

水道圧を利用してフィルターを通すだけですから浄水器の構造が非常に簡単、動作不良などのクレームもないでしょう。「水道水は安全」という前提の元に嫌な味や臭いを改善するだけでしたら、この様な簡単な浄水器でも充分だと思います。
でもこれらの浄水器はヒ素、マンガン、硝酸などに汚染された井戸水には対応出来ません、つまり、安全な水道水なら、より美味しくする事は出来ても、危険な水を安全な水に浄水する事が出来ない浄水器です。

一方、逆浸透膜浄水器は5本の多段式フィルターシステムと貯水タンクからなり、電動増圧ポンプ/満減水感知センサーなど浄水器の運転制御に様々な部品が装備されています。

部品点数も何十点にも及び、構造の複雑さは一般的な浄水器とはかけ離れていて浄水装置の体裁となります。砒素、マンガン、硝酸、放射性物質までも除去する逆浸透膜フィルターを運用する為にはこれだけのシステムが必要となります。また、システム状態を良好に維持する為には定期的なメンテナンスが欠かせません。

部品点数の多い浄水器ですから、故障した場合の原因も様々で逆浸透膜浄水器の構造に精通していない業者には、何が起こっているのかすら判らない事も多々あるでしょう、逆浸透膜浄水器を販売した経験を持ちながら否定的な見解を取る浄水器販売者は経験値・知識不足によってトラブル対応が出来ずお客様の信頼を失った苦い経験を持った為に逆浸透膜浄水器から手を引いた方が多いはずです。

何故なら浄水器を販売している者なら、確かな除去性を持ち、汚染井戸水など他の浄水器には対応出来ない場面に対処出来る逆浸透膜浄水器を選択肢として持たない理由はないからです。

性能よりも販売し易く、利益率の良い浄水器が復旧している現状

前述の単純な構造の浄水器でも外国製の物などは10万円を超えるもの、日本製でも怪しげな説明がついた浄水器では20万円を超える物までありますが、能力の大部分を担うフィルターの価格は高いものでも2万円位とすれば、金属のケースと蛇口、ホースは非常にお高い部分で、利益率の高い浄水器、つまり販売者目線で見れば魅力的な浄水器となる訳です。

また、この様な簡単な浄水器ならトラブルといってもフィルターケースのパッキンから水が染み出す位ですから手間も掛からない上、除去性能が低いために逆浸透膜浄水器の様に除去率を計測する事も出来ませんから、除去率などの性能数値になんら責任を負うこともない訳です。

利益が少なくトラブルも無し、一旦、信じて貰えれば、楽して稼げる浄水器ですから、多少、怪しい、危ない表現の宣伝をしても販売したくなるのでしょう。

弊社の逆浸透膜浄水器は千葉市、熊本県八代市などの硝酸、砒素、ホウ素といった汚染地下水用の浄水器としても指定機種となっております。指定機種リストにあるのは他社様も全て逆浸透膜式の浄水器です。素晴らしい除去性能を謳う単純な構造の高級浄水器はリストにありません。素晴らしい除去性能を謳いながら有害物質に汚染された井戸水にはNo!と言う浄水器には百歩譲って美味しい水が出来たとしても、安全な水など造れないのです。

高額販売、廉価販売、販売者による様々な価格設定と販売方法

弊社で浄水器の販売を開始した17年前、逆浸透膜式の浄水器は30から40万円前後が中心価格帯でした。現在でも弊社ACRA-545P浄水器(159,840円)と同スペックの商品が40万円位で販売されているケースもあります、その浄水器、実は弊社が浄水器の生産委託している同じ海外工場から出荷されていたりします。

価格が高い事について様々な理由付けをしても、性能の問題では無く、訪問販売などの販売形態が原因です。訪問販売員の高額報酬、紹介者への紹介料といった消費者の方からすれば不要なコストの差でしかありません。

逆浸透膜浄水器であれば価格に関係なく出てくる浄水の質は大差ありません。また一方で価格設定は安価でも、売り切りにしたい為に、逆浸透膜浄水器の特性上、必ず必要な定期的なメンテナンスについて説明が乏しかったりと、本来10年以上使用出来る浄水器の寿命を縮めています。

弊社でも、もっと安い部品を使い、海外工場から納品されたままの状態でお客様へ渡してしまえば、現在よりも低い価格設定も可能でしょう、しかし、経験上、安価な部品には漏水等事故率の高いものも有り、また、海外工場から納品された浄水器は出荷前に全数を試験運転、性能確認をした上でお客様の元へお届けしています、良品を選択肢、全数試験運転を行う事、これはコストの掛かる事ですが、ユーザー様の信頼を得る浄水器とする為には必要なコストと考えています。

この様に、いくら高い性能を誇る浄水器であっても余りに高価格では普及できないでしょうし、売りっぱなしでは長期的な消費者の方の信頼を得る事が出来ません。
弊社ではお求め易い価格の逆浸透膜浄水器を目指し、かつ行き届いたアフターメンテナンス体制維持できる様、企業努力をしてまいります。

大手メーカーは何故、逆浸透膜浄水器を扱わないのか?

政府が「水道水は安全です。」と宣言している以上、大手メーカーは逆浸透膜浄水器に手を出しにくいでしょう。水道水の安全性を否定する様な浄水器を開発しても、宣伝文句に困ります。

周知の事実となっているトリハロメタンや行政が認めている配管から溶け出る鉛などには対応する浄水器を販売していますが、基本的には「安全な水道水の嫌な臭いや味を改善する」ことが目的です。

会社の中の一事業として逆浸透膜浄水器の販売をしてる上場企業がありますが、販売価格は30万円以上と非常に高額商品となっています、大きな会社では販管費比率が大きいですからから、この様な価格になってしまうのでしょう。

大規模に商品を販売する場合、何よりもクレームの少ない商品である事が優先されます、日本の大手企業が販売する精密ろ過膜の浄水器は細菌類を99%除去できる性能を持ちますが、細菌類は非常に大きな不純物です、つまり精密ろ過膜は孔が非常に大きく目詰まりもないので、クレームも無し、販売者側から見れば優等生です。

でも安全な水を得るためには、水に溶けたイオン化した有害物質、放射性物質を除去出来る浄水器が求められます、それを実現する為には精密ろ過膜より細かい限外濾過膜、限外濾過膜より更に細かい逆浸透膜で分離除去する必要があります。

大手メーカーが取り扱わない為、「逆浸透膜」という言葉も未だ一般化していません。一方で砒素や硝酸等、汚染井戸に対する処方箋として行政が補助金を交付する浄水器は、浄水性能を明確に数値で確かめられる逆浸透膜式の浄水器です。

浄水器/アクアカルテック