精密濾過膜(孔径 0.01ミクロン)

精密濾過膜(=MF膜:マイクロフィルター)

ここでは日本製の家庭用浄水器によく使用されている精密濾過膜(=MF膜:マイクロフィルター)の説明です。

孔の大きさは、 フィルターの性能は孔の大きさで決まります

孔径の大きさは50ナノメートルから10マイクロメートル、判りやすく単位を揃えると 0.05ミクロンから10ミクロン(1ミクロンは1ミリの1/1000となります)ミクロンはSI単位系ではないので公式なデータでは使用されませんが、日本人にはミクロンの方がまだ馴染みがありそうです。

つまり0.05ミクロンから10ミクロンの孔のフィルターが精密濾過膜と規定する孔の大きさです。

細菌類は99%以上除去

日本製の浄水器に使用されている精密濾過膜は浄水器メーカー発表では0.1ミクロンとされていますから、0.1ミクロンのサイズで製造した精密濾過膜を浄水器のフィルターとして使用しているという事になります。

細菌の大きさが約1ミクロン、精密濾過膜の孔が0.1ミクロンと1/10ですから、細菌はほぼ100%通過出来ません、ウイルスは.0.1ミクロンから0.02ミクロンですので通過してしまいます。

浄水器メーカーの性能表示では「99%以上細菌を除去」と表示されています、100%と謳わないのは、精密な行程で製造された製品でも完全はあり得ないという事でしょう。

精密濾過膜で除去出来るモノ、出来ないモノ

中空糸膜は細菌類の、ほぼ100%の阻止率、錆びやカビ、プランクトンなどの微生物の除去については非常に高い性能を持ちますが、溶解性の重金属等、水に溶けた放射性物質、有害ミネラルはイオンの形態となり、原子一つの大きさと変わりませんから0.1ミクロンではなんの抵抗も無く素通りしてしまいます。

簡単に言うと、塩を溶かした水は精密濾過膜の浄水器を通過しても塩辛いと言うことです、溶けた塩の様な大きさの有害物質は除去できません。

一般的な中空糸膜+活性炭の浄水器で放射性物質、砒素やマンガン、水銀などの有害物質に対応出来ないのは精密濾過膜の孔が大きいからです。

牛乳やオレンジジュースも透明な液体になる

中空糸膜に牛乳やオレンジジュースを通すと透明な液体になります。牛乳の白い成分、オレンジジュースの黄色い成分は意外に大きく0.1ミクロンの中空糸膜を通過出来ません。

但し牛乳、オレンジジュースに溶けている細かい物質は通過しますので、味や臭いは透明になった液体に残ります。

形状はストローの様な中空糸膜

浄水器に使用される精密濾過膜は中空糸膜フィルターと呼ばれる事もありますが、これはフィルターの形状からの名称です。極細のストロー状の側面に均一で小さな穴が無数に空いている様な構造です。

このストロー状の精密濾過膜に外から水圧を掛けるとストローの中へ水がしみこんで行きます、この時側面に開いている孔の大きさより大きな不純物はストローの中に入れないと言う理屈です。

中空糸膜の製造工程はストロー状の樹脂をキューっと伸ばして細く加工します、その時に樹脂表面が破断し小さな穴が開きます。これが0.1ミクロンの中空糸膜の穴です。0.1ミクロン以上の穴、つまり製造工程でエラーが出ない、非常に均一性の高い膜となります。

逆浸透膜浄水器への精密濾過膜の応用

逆浸透膜を通過した後の純水へ、最終工程として中空糸膜を使用する事があります。なんで逆浸透膜浄水器の通過後に100倍以上も大きな孔のフィルターを使用するのか?とお思いになるかと。

これは逆浸透膜浄水器で浄水の出口経路、浄水蛇口は空気に触れています、すると空気中の細菌が時間を掛けて浄水蛇口から逆伝いに侵入してくるのです。

そのままでは逆浸透膜以降の経路の細菌汚染を100%阻止する事は不可能です。一般家庭での使用では問題にならないレベルの細菌量ですが、長期間保存を前提としたボトルウォーターなどでは品質保持の面から問題があります。

そこでボトルに注ぐ直前で中空糸膜を掛けると99.9%以上バクテリアを阻止する事が出来るので、この様な順番違いの使用方法となります。

浄水器/アクアカルテック