井戸水で水質検査の落とし穴
「井戸水の水質検査結果は全部「飲用適の結果」が出ているのに水が臭くて飲めない」そんなお問い合わせを頂くことがあります。井戸水でも水質検査を行って、「飲用適」の結果がでれば安心して飲んで良さそうなものですが、嫌な臭いや味がして飲めた物じゃない、と言うことも別に不思議な事ではありません。
これは水質検査の検査項目数に問題が隠れているのです、一般的に井戸水の水質検査を依頼すると、基本検査料金1万円以内で保健所や検査機関が水質検査をしてくれます。
検査項目は10~13項目程度、ですが、水道水質基準は51項目あります。残りの項目はどうなのでしょうか?
水道水質基準51項目に対して井戸水基本検査項目数は13項目位です、つまり残り38項目については検査していないと言うことです。
水道水は国が基準を定め、それぞれの行政区で水道局が安全性を管理しているのですが、地下水についての運用は自己責任です、基本項目だけの検査を行うか水道と同様に51項目の検査を行うかは、井戸の水を使用している個人の判断に任されています。
基本13項目についての検査だけで良しとするか、もっと項目数を増やして水質検査を行うかは個人の判断に任されていると言うことです。
実際に基本13項目の検査を毎年行って安心して井戸の水を飲んでいた方が、人に勧められて27項目の検査を行ったら砒素が基準値をオーバーしていたケースがあります。
基本項目の検査だけでは有害性の高い砒素やマンガンなどは検査をしていませんから、例えその様な有害物質が存在しても結果は「飲用適」となってしまいます。有害物質が水道水質基準値を超えていても余程の高濃度にならない限り味や臭いに異常を感じる様な事はありませんから、透明で綺麗な井戸水なら安心して飲んでしまう方も多いでしょう。
基本項目の中には臭気と味の項目があるのですが、明らかに硫化水素臭のする井戸水が臭気・味とも「異常なし」の判定で結果書が出てきたのを見た事があります。人間の感覚的な項目については、余程の状態で無い限り「飲用不可」の判定は出さないのが通例なのかも知れません。
そのお客様は他の検査項目数を増やすより、明らかに臭いで飲みがたい水ですのでアクアカルテックの逆浸透膜浄水器を使用されています。
では基本項目だけではなく水道と同様、51項目を検査すればと思うと、驚くことに殆どの検査機関で51全項目の検査は20万円位の費用が必要になります。これではアクアカルテックの逆浸透膜浄水器を購入してもだいぶお釣りが来そうです。
地下水の水質状況は周辺環境の変化と共に毎年変化して行きますから、個人の方が毎年20万円の費用を掛けて水質検査を行う事は現実的ではありませんし、飲用不可の結果が出てしまえば、井戸を掘り直すか逆浸透膜浄水器を導入されるかしか方策がありません。
井戸は堀直しても必ずしも良い結果になるとは限りませんし費用も高額になります。
今までお話しした様に日本の水道水質検査項目は51項目あるのですが、水に含まれる不純物の種類は数千種類とも言われていて、井戸水ですから水道水質基準項目以外の物質が臭いを発生させているとすれば、検査で原因をしる術もありません。
数千種類にも及ぶと言われる水の中の不純物、もちろんその全てを追跡検査するのは現実的に不可能でしょうが、水道水の51項目についても、井戸水の基本13項目と同じような落とし穴があるかもしれません。