逆浸透膜浄水器の除去率は何を計っているのですか?
「逆浸透膜浄水器の除去率は何を計っているのですか?」
「アクアカルテックでは浄水器の出荷時に全数、水漏れ検査と除去性能検査を行われているそうですが、除去性能は何を計っているのですか?放射性物質が計れれば安心ですが...それは難しいでしょう?」
浄水器の除去性能を「除去率80%以上」とか「除去率99%以上」とか表示されていますが、99%の除去率は何の物質についての除去率なのかが重要です。浄水器の濾過材(=フィルター)にはいくつもの種類があり、その種類によって孔の大きさが異なります。
一般的な浄水器に使用されている精密濾過膜なら0.01ミクロンですから細菌類などは通過出来ません、細菌類について99%の除去率を持つと言えます。
一方で0.01ミクロンより小さい物質は通過してしまいます、例えば水に溶けている金属類は水中でイオンとなり、0.001~0.0001ミクロンと小さくなってしまいますので精密濾過膜の孔の大きさでは全て通過してしまいます。
言い換えれば細菌類は99%以上除去出来ますが、溶けた金属類は0%の除去率となります。
では逆浸透膜浄水器の出荷時検査では何を計って除去率を確認しているのか?ですが、直接的には水の電気抵抗を計測しています。先ほどの金属類を含め殆どの溶解性物質は水に溶けてイオンとなって水中に存在しています。
イオンは原子とほぼ同一の大きさで、自然に存在する物質としては最小の物質と言えます(ここではニュートリノとかの素粒子とかの話は別として)。水に溶けてイオンになると水中で+又は-の電荷を持ちます、これが水の中で電気を流す仲立ちをするのです。
つまり水中のイオン量が多ければ電気が多く流れ、イオンの量が少なくなれば電気の流れる量が少なくなります、水の電気抵抗が高くなる訳ですね。
TDS(蒸発残留物濃度)メーターはこの電気抵抗をppmに換算して表示します。直接的には電気抵抗を計測し、間接的には水に溶けている不純物イオンの量を計測しているわけです。
弊社事務所の原水は約100~130ppmですから浄水器の浄水は5~6ppm以下になっている事を確認し、除去率95%以上となる訳です。
先ほど申し上げたように水中のイオン性物質は最小物質となりますから、このサイズの物質が除去できている事から、それより大きい物質も除去出来ていると考える事が出来ます。
では放射性物質はどうなのか?
放射性物質も浄水場を通過して水道水へ残留するものは河川に落ちた塵状の放射性物質が流れている内に溶けて小さくなり、イオン化したものが主となります。塵状の大きな放射性物質なら浄水場でも殆ど取り除くことが出来るはずですが、イオン化した放射性物質はサイズの面から通過してしまうので、浄水場では何らかの吸着剤でイオン性物質の量を減らす施策を行っているのかと思われます。
溶解した放射性物質が浄水器の浄水に存在すれば、当然TDSメーターの計測数値に反映されますから、TDSメーターの数値が低く保たれていれば、イオン性の不純物が殆ど存在しない、放射性物質が原水に存在したとしても、浄水では除去されている事が確認出来る訳です。
放射性物質は元素の種類だけ存在する位、多くの種類があります。逆浸透膜浄水器による除去データがある物質もありますが、無い物質もたくさんあります。
放射性ヨウ素、セシウムは除去データ/試験で確認出来たけど、じゃあストロンチウムはどうなのか、プルトニウムはどうなのか、と試験データを求めても、除去データからしか判断が出来ないとすればデータが無い物質は判断出来ない事になります。
でも、逆浸透膜浄水器で行われている膜分離の仕組みを理解して当てはめれば、放射性物質といえども水に溶けてイオン化する仕組みに変わりが無い事のですから、逆浸透膜浄水器で多くの種類の放射性物質除去が出来ると推測する事が出来ます。
但し水素の放射性物質トリチウムについては自然界で水分子に取り込まれ、水分子そのものとして存在する為、逆浸透膜式の浄水器でも分離除去出来ない事が判っています。
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