浄水器の中空糸膜フィルター
ここでは日本製の家庭用浄水器に使用されている中空糸膜の説明です。中空糸膜はストローの側面に小さな穴が空いている構造です。外から水圧を掛けるとストローの中へ水がしみこんで行きます、この時側面に開いている孔の大きさより大きな不純物はストローの中に入れないと言う仕組みです。
日本製家庭用浄水器で使われている中空糸膜は0.01ミクロン、逆浸透膜から比較すると100倍位大きな穴ですが、日本製中空糸膜の精度は高く大きな穴が出来てしまうようなバラツキがありません。中空糸膜というのは形状からの呼称です、フィルターの穴の大きさからの分類では精密濾過膜となります。
精密濾過膜より小さいなサイズの限外濾過膜は人工透析や工業化学分野で使用され、それより小さなサイズの逆浸透膜は海水を淡水へ変える性能を持ちます。逆浸透膜でも中空糸膜形状のフィルターがあります。
精密濾過膜の0.01ミクロンは全ての細菌類が通過できませんので、中空糸膜(=精密濾過膜)で99.9%以上細菌を除去する事が出来ます。100%と謳わないのは、いかな工業製品でも天衣無縫、完全はあり得ないという事でしょう。
中空糸膜の製造工程はストロー状の樹脂をキューっと伸ばして細く加工します、その時に樹脂表面が破断し小さな穴が開きます。これが0.01ミクロンの中空糸膜の穴です。0.01ミクロン以上の穴、つまり製造工程でエラーが出ない、非常に均一性の高い膜となります。
中空糸膜(=精密濾過膜)は細菌類はほぼ100%の阻止率、錆びやカビ、プランクトンなどの微生物の除去については非常に高い性能を持ちますが、溶解性の重金属等、有害ミネラルはイオンの形態となり、原子一つの大きさと変わりませんから0.01ミクロンではなんの抵抗も無く素通りしてしまいます。
一般的な中空糸膜+活性炭の浄水器で砒素やマンガン、水銀などの有害ミネラルに対応出来ないのはフィルターの穴が大きいからです。
逆浸透膜浄水器でも浄水器通過後の純水へ最終工程として中空糸膜(=精密濾過膜)を使用する事があります。なんで逆浸透膜通過後に100倍も大きな穴のフィルターを使用するのか?とお思いになるかと。これは逆浸透膜以降の経路、蛇口は空気に触れています、すると空気中のバクテリアが時間を掛けて蛇口から逆伝いに侵入してくるのです。
そのままでは逆浸透膜以降の経路のバクテリア汚染を100%阻止する事は不可能です。一般家庭での使用では問題にならないレベルのバクテリアですが、長期間保存を前提としたボトルウォーターなどでは品質保持の面から問題があります。
そこでボトルに注ぐ直前で中空糸膜を掛けると99.9%以上バクテリアを阻止する事が出来るので、この様な順番違いの使用方法となります。
中空糸膜(=精密濾過膜)に牛乳を通すと透明になります。牛乳の白い成分は意外に大きく0.01ミクロンの中空糸膜(=精密濾過膜)を通過出来ません。逆浸透膜も当然通過出来ませんが逆浸透膜は孔が非常に細かい為、あまり高濃度の液体を通すと短時間に目詰まりを起こしてしまいます。
中空糸膜(=精密濾過膜)の様に有る程度ルーズな膜でないと高濃度の液体は通過出来なくなります。
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