硝酸態窒素ゼロの水
少々思い込みの強い方からお問い合わせがありました。
「硝酸態窒素は体に悪いんです!水に含まれている硝酸態窒素をゼロにしなければいけないのです!」と強い口調で主張されています。
浄水器についてのご質問ではないような?
硝酸態窒素は井戸水では代表的な汚染物質です、畑の肥料や家畜のし尿などが主な原因とされています、また井戸水の水質検査を行う場合に項目数を絞った井戸水基本検査でも必ず含まれている項目なので、検査数が多い分だけ顕在化しやすい有害物質と言えます。
河川水にも多少は含まれていますので、それを原水とする水道水にも基準値以下ですが含まれています。市販されている硝酸態窒素のパックテストを使用すれば、水道水でも薄いピンク色に染まり、硝酸態窒素が含まれている事が判ります。
井戸水の場合では、水道水質基準値10mg/㍑を超えて検出されて、飲料水/調理水を確保する為に弊社の逆浸透膜浄水器を使用しているユーザー様がたくさんいらっしゃいます。逆浸透膜浄水器の除去率は概ね95%ですから浄水にも0.5mg/㍑位の硝酸態窒素が残留する勘定です。
水道水の硝酸態窒素濃度は低いでしょうけれど95%除去して5%浄水に残るのですから逆浸透膜浄水器の浄水でも「硝酸態窒素ゼロの水」では無いですね。
さて件のお問い合わせの方に戻りますが、
「お客様はお野菜とかお肉とかはお召し上がりにならないのですか?」
「野菜も肉も食べますよ!」
「お野菜やお肉にも硝酸態窒素は含まれていますが、そちらはよろしいのですか?」
硝酸態窒素はタンパク質の分解過程の物質ですから野菜や肉にも含まれています。
本当に体に強い悪影響があるなら水だけ硝酸態窒素ゼロの水にしても食材から体に入っているのでは意味が無いですよね。
硝酸態窒素については一般的な物質ですので、この様に反証してご理解頂く事も出来るのですが、波動とか、未知のエネルギー的な実在しないモノを言われてしまうと反証のしようがないですね。
「硝酸性窒素ゼロの水」ミネラルウォーターを宣伝する切り口に使用されている様です。
硝酸性窒素が生後6ヶ月までの乳幼児にとって非常に危険な有害物質である事は事実です、ですから野菜や肉も離乳食が始まる前の乳幼児に与えてはいけないのです。
硝酸態窒素とは?
動植物の死骸や糞尿などを由来とする硝酸態窒素は自然界の中では地中のバクテリアが分解して地下水まで残る事は無いとされていますが、畑への施肥や畜産からのし尿など人為的に大量に投入される事によりバクテリアの分解容量を超えて地下水まで残ってしまいます。
硝酸態窒素の影響とは?
酸素欠乏症については、まだ液が分泌されていない乳幼児や胃液が出にくい疾患を持つ方の胃内は胃液(塩酸)による殺菌が出来ない為に還元性を持つ細菌が胃内に繁殖し、その細菌が硝酸態窒素を毒性の高い亜硝酸態窒素へ還元してしまう事によって発生します。
ですので、乳幼児以外の人体には基本的に悪影響はありません。酸素欠乏症、ブルーベイビーなどは胃液が分泌されない生後6ヶ月未満の乳幼児についての問題です。
発がん性については、20年近く前から研究している方がいるそうですが、発がん性物質であるとの結果は見ていません。
この情報を悪意を持って切り取ると
・硝酸態窒素は赤血球の酸素運搬能力を奪って酸素欠乏症を起こします。
・硝酸態窒素は発がん性物質です。
となります、それをみてビックリした人が件のお問い合わせの方でしょう。
硝酸態窒素ゼロのミネラルウォーターについて
簡単な検査試薬パックテストが販売されていて、水道水質基準の10mgを超える様な濃度の場合は赤紫色に染まります。数種類ですが私が国内のミネラルウォーターで試すと、基準値以内ではありますが薄いピンクから、おや、と思うほど濃く色が出る銘柄もあります。
一方でボルヴィックやヴィッテルなど欧州産ミネラルウォーターは見事に色が付きませんでした。
欧州では古くからミネラルウォーター文化があり、水源を保護する為に人を立ち入らせないなど徹底した水源管理をしています。
国内のミネラルウォーターは私の記憶では「六甲のおいしい水」が最初ではなかったかと思いますが、住宅地のすぐ脇にある井戸水が美味しいと販売に至ったと聞きました。
多くの天然水も人の立ち入らない場所から採水している訳では無いでしょうから硝酸態窒素が検出されてしまうのでしょう、硝酸態窒素ゼロの水なら良い天然水だと私も思いますが。