逆浸透膜浄水器の除去率について②

前回で逆浸透膜浄水器に使用される逆浸透膜フィルターは殆どが外国メーカーからの輸入であり、弊社の経験上、品質差は感じられるものの、除去性能については大きな差異は無く、結果的に浄水器の除去性能も同様に考えられる事をお話しました。
溶解性不純物、不純物イオンと言いましても様々な種類があり、その種類によって逆浸透膜浄水器での除去率は若干異なります。
1価のイオンより2価のイオンの方が若干除去率が高い傾向にあるのは1価のイオンには一つの水分子が取り付き、2価のイオンには2つの水分子が取り付き、これは一般的にイオン+水分子の構成半径が大きい方が除去率が高くなるからと説明されています。
もちろん例外も存在しますが、これが全体的な傾向となります。
米国フィルムテック社のホームページを見れば膜メーカーとしての除去性能表を見る事ができます、それによると逆浸透膜フィルターの除去率は概ね95%となります。
ところが実際に実験室で除去性能検査を行うと95%を超える除去性能試験結果を出してしまう事もよくあります。
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素を例にとると、弊社では(財)千葉県薬剤師検査センターで3回程、除去性能試験を行っていますが、そのうちの一つは99.98%とあり得ない様な数値が出ました。
他の2回は95%前後の結果でしたので異常な数値です。
この試験は検査センターで超純水へ硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素を溶かして原水として、検査センター内で弊社逆浸透膜浄水器で浄水します、原水と浄水それぞれの硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素を計量して、その濃度から除去率を割り出します。
結論からお話すると除去率が高かった試験は原水の硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素濃度が非常に高かったのが原因だと思われます。
原水の硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素濃度 104mg/㍑ 浄水では検出限界0.02mg以下/㍑の結果から割り出すと除去率99%以上の結果となりました。
原水の不純物濃度を高くするとこの様な結果が出てしまう事もあるという訳です。
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の水道水質基準値は10mg/㍑ですから実際の井戸水での事例は15~20mg/㍑位が多く検査もそれに近い数値で行うと、検出限界値との兼ね合いもあり95%前後の結果が多くなります。
実例で硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素80mg以上/㍑と高濃度の井戸水も経験していますので、104mgが必ずしも逸脱した数値ではないのですが、実験を行うなら原水濃度30mg/㍑位までが妥当だと思いました。
原水濃度や水質の影響から飛び抜けて高い除去性能結果が出てしまう事もありますが、対象物質以外の不純物による影響なども考慮すれば逆浸透膜浄水器の不純物除去率は90~95%を目安として考えています。
弊社ユーザー様は水道水の方も井戸水の方もいらっしゃいますが、井戸水の方は基本的に何らかの有害物質によって飲用不可判定をされていますので、それを浄水器の導入によって飲用可能な水に浄水する事が求められます。
90%の除去率と仮定すれば有害物質を1/10に減らす事が出来ます、もし有害物質が基準値の10倍を超えて検出されていれば浄水器導入前にフィールドテストを行う必要性が出てきます。
逆浸透膜浄水器は問題を解決する浄水器です。