硝酸態窒素(NO3)とは
また、硝酸態窒素は井戸水では代表的な汚染物質です、井戸水の水質検査を行う場合に項目数を絞った井戸水基本検査でも必ず含まれている項目なので、検査件数が多い分だけ顕在化しやすい有害物質と言えます。
河川水にも多少は含まれていますので、それを原水とする水道水にも基準値以下ですが含まれています。水道水や多くのボトルウォーターも市販されている硝酸態窒素のパックテストを使用すれば、薄いピンク色に染まり、硝酸態窒素が含まれている事が判ります。
一方でヴォルヴィックやヴィッテルなど欧州のボトルウォーターはパックテストでは殆ど反応しません、硝酸態窒素ゼロの水ですね。
井戸水を使用している弊社ユーザー様の多くは硝酸態窒素及び亜硝酸性窒素が基準値を超えて検出された事を理由に逆浸透膜(RO)浄水器を導入された方が多くいらっしゃいます。
逆浸透膜浄水器の除去率は概ね95%ですから浄水にも0.5mg/㍑位の硝酸態窒素が残留する勘定ですが、実際の水質試験検査では原水10mg超に対して浄水0.5mg以下(検出限界以下)の結果が出ることも珍しくありませんので、除去率にすれば99.5%以上という結果となる事もよくあります。

井戸水の場合、硝酸態窒素以外の不純物やpHの影響などから除去率が変動する場合がありますので、弊社では約95%の除去率としています。
硝酸態窒素の毒性について
生後6ヶ月までの乳幼児は未だ胃液が出ていません、胃液は消化だけでは無く殺菌という重要な役割を持っています。母乳であれば母乳に含まれた白血球が胃内を殺菌してくれますが、粉ミルクの場合は殺菌能力はありませんので、乳幼児の胃内は雑菌が繁殖しやすい状況になります。
胃内で雑菌が繁殖し硝酸態窒素(NO3)を亜硝酸性窒素(NO2)に還元してしまう場合があり、亜硝酸性窒素(NO2)が乳幼児の血液に入ると赤血球の酸素運搬能力を奪い、呼吸困難(チアノーゼ)を起こす可能性があります。
乳幼児以外は強酸の胃液で胃内が殺菌されますのでこの様な事態にはなりませんが、胃液が出にくい疾患を抱えた方は同様の注意が必要とされています。
また、20年以上前から硝酸態窒素が発がん性物質である可能性を指摘して研究されている方はいらっしゃいますが、現時点でも発がん性物質とはされていません。
この情報を悪意を持って切り取ると
・硝酸態窒素は赤血球の酸素運搬能力を奪って酸素欠乏症を起こします。
・硝酸態窒素は発がん性物質です。
となります、いきなりこの様な事を言われたらビックリしてしまいますね。
亜硝酸性窒素について
「硝酸態窒素及び亜硝酸性窒素」の基準値10mg/㍑に対して亜硝酸性窒素の基準値0.04mg/㍑は250倍の毒性と見積もられています。
硝酸態窒素は水よりも野菜や肉に多く含まれている物質です。
本当に体に強い悪影響があるなら水だけ硝酸態窒素ゼロの水にする事に意味があるのでしょうか。
ほうれん草100gには0.2gの硝酸塩が含まれています。0.2gは200mgの事ですから、ほうれん草50gで100mg、水道水質基準値超えの水10㍑位に相当します。ほうれん草を加熱すると硝酸塩は減るとされていますが、何の位減るのか数値がなかったので、半分とかにはならないのでしょうね。
ほうれん草は硝酸塩が多い事で有名ですがキャベツも100g当たり0.1gの硝酸塩が含まれています、とんかつの付け合せで100g位は食べてしまいそうですから、これで水道水質基準値超えの水10㍑位ですね。
硝酸塩が含まれていて危険だからほうれん草もキャベツも食べない、とはならない訳で、普通の考え方なら硝酸塩の害より、ほうれん草やキャベツなどの野菜を摂る事が健康に寄与すると考える訳です。一方で離乳期まで肉野菜などの食材を与えてはいけないのは硝酸塩が理由の一つです。
硝酸塩を含む野菜の含有量については農林水産省ホームページをご覧下さい。
牛乳が体に悪い!と言う方もいますし、牛乳は飲むだけで筋トレ、と言う方もいます。殆どの食材は人間にとって良い部分と悪い部分を併せ持っているのが当たり前で、もし良い部分50%、悪い部分50%だとしたら考えてしまいますが、本来は問題にならない様な悪い部分を針小棒大に話して耳目を引くのは多くの人にとって迷惑な話です。