逆浸透膜浄水器の仕組みは少し複雑です②
前回の続きです、逆浸透膜浄水器の経路図を見ながらご覧になって下さい。
3本のプレフィルターを通過して電動増圧ポンプで加圧された原水(水道水/井戸水)は逆浸透膜フィルターへ入る前にもう一つ小さな部品を通過します。
それはオートシャットオフバルブ(ASV)と呼んでいる結構重要な部品です、大きさは子供の握りこぶし大ですが、この部品が無いと浄水器からの排水が出っぱなしになってしまいます。
オートシャットオフバルブには一次側(原水)と二次側(浄水)の2経路が樹脂製のバルーンで仕切られています、電動増圧ポンプが稼働している間は一次側の水圧を高める事でバルーンをこじ開け原水を逆浸透膜フィルターへ送りますが、満水になって電動増圧ポンプが停止すると高まった二次側の水圧でバルーンを押し付け一次側の通水をせき止めます。
もしオートシャットオフバルブが無いと浄水器が停止していても原水の給水が止まらず、浄水器に給水された原水は排水側へ流れ続けてしまいます。
オートシャットオフバルブの代わりに電磁弁を使用して給水を止める方法もあります、アクアカルテック浄水器でも配管チューブの太い業務用浄水器では電磁弁を使用しています。
オートシャットオフバルブを経由してやっと逆浸透膜フィルターへ水が辿り着きました。
普通の浄水器では給水された水が全てフィルターを通過する全量ろ過が一般的ですが、逆浸透膜フィルターは孔が細かすぎる為、全量ろ過方式ではフィルターが直ぐに目詰まりを起こしてしまいます。
逆浸透膜フィルターは全量ろ過では無く、クロスフローろ過方式の浄水方法を採用しています、クロスフロー方式は給水された水の半分位の水分子が逆浸透膜フィルターを通過し、残りの濃縮された水は逆浸透膜表面を流れながら排水として浄水器の外へ捨てられて行きます。
詳しくは逆浸透膜の分離メカニズムをご覧下さい。
家庭用浄水器ACRT-550MPSでは逆浸透膜の目詰まりを抑制して長期間良好な状態を保つために浄水1に対して排水2以上の比率で電動増圧ポンプの出力、排水量の設定を行っています。
業務用浄水器のLC300HP/SEなどでは造水速度を優先する為、浄水1に対して排水1~1.5の浄水排水比率で設定してあります。
浄水と排水の比率は原水の状況によって調整する場合があります、原水が井戸水の場合は目で見て色がついている水とかでは無く、TDSメーター(蒸発残留測定器)での数値が非常に高い場合などは排水量を増やして逆浸透膜フィルターへの負荷を減らす事によって目詰まり抑制を試みる事もあります。
ただ、排水量を増やす事は浄水器への通水量が増えて、結果、プレフィルターの負荷が増えますから、プレフィルターの交換時期の短縮など全体的に考慮する必要があります。