家中まるごと浄水したいのですが?
申し訳ありませんが家全体の水を浄水する浄水器は逆浸透膜式ですと現実的ではありません。逆浸透膜はその高い除去性能と引き換えに造水速度は非常にゆっくりです、水分子の大きさと比較されるほどの微細孔で時間を掛けて浄水するので砒素などの有害物質でも確実に長期間継続して除去できるのです。弊社標準、家庭用の浄水器で8リットル/時間の造水量しかありません、これではとても足りませんね。
家全体の水を浄水器でまかなう為には1日あたり200リットル×家族人数の水量が必要となり、逆浸透膜浄水器の場合は工場プラント的な設備と大型貯水タンクを必要とします。ご希望のオーダーに対応する業者もあると思いますが200?300万円位のイニシャルコストとかなりの額の年間ランニングコストが発生するでしょう。また、これは逆浸透膜式の浄水器に限った事ではありませんが浄水器を通過した水は消毒用塩素が存在しませんので、配管経路が長くなれば滅菌装置を設けるなど衛生管理にも配慮する必要がでてきます。
逆浸透膜浄水器は人体に入る水(飲料水/調理水)について対応されるのが宜しいと思います。
また「家中丸ごと浄水器」なる商品を見かけますが基本的には水道水の遊離残留塩素除去用とお考え下さい、恐らくどの家中丸ごと浄水器を扱うメーカーも井戸水には対応出来ないと思います。
家中まるごと浄水器
水道水の残留塩素の刺激から肌を守りたいと家中まるごと浄水器が近年人気商品となっている様です。重度のアトピー性皮膚炎など深刻な場合はやむを得ないと思いますが、塩素は殺菌消毒の役割もありますので手を洗う水や水洗トイレなどはむしろ積極的に活用したいところです。
遊離残留塩素除去は浄水器の濾材として使われる活性炭との反応ですので活性炭フィルターは長期間有効に働きます、一方、重金属やトリハロメタンなどは活性炭への吸着ですので遊離残留塩素の1/4位の期間しか除去できません。活性炭フィルターを主体とした家中まるごと浄水器はその目的に依ってフィルターの交換周期を変える必要があります。
シャワーやお風呂のお湯から塩素を除去したい
塩素から肌を守る商品としてホームセンターなどでシャワーヘッド型の浄水器が販売されています。これら浄水器は活性炭またはビタミンCと遊離残留塩素を反応によって刺激性の無い塩素イオンへ改質します。ではバスタブのお湯はどうしたらよいでしょう?入浴剤のバスクリンにはアミノ酸系の塩素除去剤が配合されています(どの製品に配合されているかは直接メーカーへお問い合せ下さい、ツムラライフサイエンス(株))。
また、バスタブ200リットルに対し緑茶大さじ1杯をガーゼに包んで入れておくと、緑茶のビタミンCと遊離残留塩素が反応して無害な塩素イオンに変えてくれるそうです。ビタミンCそのものを浴槽のお湯に溶かす商品もあるようです。浄水器に依らない遊離残留塩素処理方法です。