大腸菌、一般細菌対策は浄水器より除菌器(滅菌器)を使用するのが一般的な対応策です。
その為に浄水を造るスピードは一般的な浄水器に比較すると非常に遅くなりますから、家全体で使用する水全てを賄う事は出来ません。逆浸透膜浄水器の浄水はご家族がお口に入れる水、飲料水/調理水(洗米の水等も含む)に限定して使用する浄水器です。
逆浸透膜浄水器に使用されている逆浸透膜フィルターは大腸菌、一般細菌などの細菌類はサイズ的に通しません、しかし台所に設置した浄水蛇口以外の既存蛇口、洗面所、浴室、洗濯用水栓等、他の蛇口からは大腸菌、一般細菌が出ている事になります。
大腸菌、一般細菌が検出された井戸水への対応は衛生的な観点から家全体の水を除菌する必要性がありますので、井戸水の入り口、つまり井戸ポンプへ併設して除菌器(滅菌器)を設置する事が最善策となります。
除菌器は水道水に使用される遊離残留塩素と同様の効果を持った殺菌剤を井戸水に添加する機器です、井戸ポンプを取り扱っている業者さんから購入されるのが宜しいでしょう。
汚染井戸水(地下水)へは、細菌類には除菌器、ヒ素等有害物質には逆浸透膜浄水器を
除菌器の難点としては、一般的に水道水よりも消毒剤の匂いが強く、それを嫌って除菌器の使用を中止してしまう方が多い事でしょうか、弊社で井戸水のお客様のお宅へ伺うと除菌器を設置しているのをよく見かけますが、使用を中止している方がよくいらっしゃいます。
大腸菌は危険、一般細菌は?
では、一般細菌はどうでしょうか、一般細菌とは、どんな種類の細菌かは判らないけれど大腸菌では無いという事になります、人間にとって有害なのか無害なのかは判らないけれど細菌がいましたという意味です。
弊社では次の4点から、一般細菌については余り神経質にならないようにお客様にご説明しています。
1.一般的な生活環境で人体に有害性の高い細菌が存在する事はレアケースである事。
2.採水時に入り込んでしまう蛇口先端部の汚れ等で検査結果が大きく変わってしまう事。
3.塩素等消毒剤の使用を前提とした水道水質基準なので、消毒剤を投入していない水で安定した結果を得るのが困難である事。
4.水道水は100個以下であるがカップアイス、カッププリン等の食品は10000個以下と規定されている、つまり10000個の状態でも腐敗状態では無い事。
2. 採水時に入り込んでしまう蛇口先端部の汚れ等で検査結果が大きく変わってしまう
検査用の水を採水する時に蛇口先端に付着した細菌が一緒に入れば、採水瓶へ採水者の唾液などが入れば、消毒用塩素の存在しない井戸水は、ちょっとした事で結果が大きく変わってしまい、先回はクリアしていた水が、数千~数万単位の結果が出てしまう事もありえます
この様に消毒剤を使用しない井戸水を採水する場合は、蛇口をバーナーで熱して消毒する、採水中、呼気が当たらない様に、採水したボトルはアイスボックスに入れて出来る限り速やかに検査所へ持ち込むなど、様々配慮が必要な作業となります。
3.一般細菌100個以下は塩素等消毒剤の使用を前提としている
4.水道水は100個以下であるがカップアイス、カッププリン等の食材は
これから考えると井戸水検査で一般細菌が基準値を超えた=有害と考えるのは些か短絡的かと思います。
食品衛生に於いて大元となる水は塩素投入が前提である事もあり、厳しく基準を規定しているのでしょう。
人間は菌と共生し、常在菌に守られている
人間は菌と共生しています、人間の皮膚1平方cmには数千~数万の常在菌がいます、これらも一般細菌のカテゴリーに入る細菌です。具体的には表皮ブドウ球菌(黄色ブドウ球菌ではありません)やアクネ菌とか。
常在菌は皮膚から分泌される皮脂を食べて脂肪酸を排出します、この脂肪酸は皮膚を弱酸性に保ちます。この弱酸性の環境は常在菌にとって繁殖しやすく、人体に有害で食中毒などの原因となる黄色ブドウ球菌などは繁殖しにくい環境なのです。
つまり常在菌が造る弱酸性のバリアによって人間の皮膚は有害性の有る細菌から守られているのです。石鹸で身体を洗うと常在菌も流れてしまいますが、入浴後1時間もするとまた、元のように回復して皮膚を覆ってくれるそうです。
常在菌のおかげで皮膚は弱酸性ですが一皮めくると血液は弱アルカリ性です、弱アルカリ性の環境は人体に有害な細菌にとって繁殖しやすい好環境となってしまいます。
手に切り傷のある人が握ったおにぎりで食中毒が発生したりするのは血液の弱アルカリ性環境で繁殖する黄色ブドウ球菌などが大量に増えてしまう事が原因です。
細菌と言っても私達の生活環境で有害性の高いものは少なく、必要以上に恐れる必要はないのです。