活性炭フィルター
活性炭は主に木、竹、椰子殻などに高温処理を行い活性化したもので、大部分を炭素が占める多孔質の構造を持ち、重量当たりの表面積が非常に大きいのが特徴です。
浄水器のフィルターとして使用される場合は主に水道水中の遊離残留塩素とトリハロメタンなどの有機物の除去が主な目的となります。
遊離残留塩素は吸着除去では無く、反応処理
遊離残留塩素はさらし粉の様な酸化力が強く細菌を殺したり、肌に刺激を与えたりしますが、活性炭の炭素に触れる事により化学反応で塩素イオンに変わります、塩素イオンは食塩を構成するナトリウムイオンのカウンターイオンですから、殺菌したり、肌を痛めたりする事のない刺激性の無い物質です。
トリハロメタンなどの吸着除去の仕組み
また、被吸着物によっては活性炭との表面で何らかの化学的な結合力が働いて保持される場合もあり、これを化学吸着と呼び、特殊な吸着剤ではこの反応を利用する場合があります。このため、表面の広い程、吸着の起こる確率が高いと言えます。
特殊なチューニングを施した活性炭はヒ素やカドミウムなどの吸着材として使用されるケースもあります。
炭と活性炭の違い、その構造
これに対して活性炭は、炭などをさらに1,000℃近い高温で加熱処理して作られます。1グラム当たりの表面積は800~2,000m2に達し、炭より圧倒的な吸着性能を誇ります。 樹木などが加熱されて炭になることを「炭化」。炭化物が加熱されて活性炭になることを「賦活(ふかつ)(活性化反応)」といいます。
遊離残留塩素の話をもう少し
しかし味、臭気の問題だけではなく、アトピー性皮膚炎の一因となったり、水中の有機物と結合してトリハトメタンを生成する等、有害な一面も顕在化してきました。
水道水の原料は河川水です、都市部の場合は大半が河川の下流域に在りますので上流域の街から出る下水で汚れた河川水が水道水の原料となり、必然的に河川水に含まれる有機物の量も多くなります。
有機物は遊離残留塩素と結びついてトリハロメタンなど塩素副生成物となり、その分、遊離残留塩素が少なくなってしまう為、浄水場では配水中に減少する量を見越して、より多くの遊離残留塩素を投入しなければなりません。
活性炭は広大な表面積を持ちますが、それも有限、表面に異物が付着すれば遊離残留塩素は炭素に触れることなくそのまま浄水へ流れてしまいます。このように今まで吸着していたものが、あたかも徐々に吸着出来なくなるようにブレイクして行くので、「活性炭が塩素を吸着」と説明した方が消費者の方に判りやすいので、反応ではなく便宜的に吸着除去で説明している様です。
遊離残留塩素の反応とトリハロメタンの吸着ではフィルター寿命が違います
通常、トリハロメタン等の処理量は遊離残留塩素の1/4程度しかありません、ですがフィルター寿命は遊離残留塩素の処理量で○○○○㍑と表示されている場合が多く、注意が必要です。
また、活性炭では錆びやカビ等の除去には不向きですので、浄水器のフィルターとしては活性炭単体では無く、日本製浄水器なら精密濾過膜(又はセラミック)+活性炭、外国製浄水器なら1~5ミクロン程度の繊維フィルター+活性炭の組み合わせで使用するのが一般的です。
活性炭は何でも取れる!?
活性炭はその小さな穴の中へ不純物を吸着します。様々な物質を吸着しますから、除去出来るのは嘘ではない、が、しかし、100ある内の5しか除去出来なくても、除去出来たって言っても、嘘じゃない、つまり除去できた、と言うことでしょう。
飲用可能な状態まで除去出来ないのであれば、浄水器を使う目的から考えて除去項目に表示するのは正しいとは言えないでしょう。
活性炭は様々な物質を吸着し便利な素材ですが、深刻な有害物質除去を任せられる程の性能は持ちません。但し、遊離残留塩素除去については非常にロングライフな除去能力を持ちます、それは除去ではなく炭素との反応だからです。
逆浸透膜浄水器にも活性炭フィルターが使われています
ですから逆浸透膜浄水器のプレカーボンフィルターは非常に重要な役目を持っているのです。もう一つ逆浸透膜フィルター通過後の後処理フィルターに活性炭が使われています、逆浸透膜は水に溶けた気体は有る程度、通過してしまいますので、それを原因とする臭気の吸着、そして逆浸透膜を通過した二酸化炭素により多少、酸性に傾く浄水をアルカリ性の活性炭によりpHを戻す役割があります。