PFOS,PFOAを逆浸透膜浄水器で除去する事は出来ますか?

PFOS、PFOA等のPFAS(有機フッ素化合物)は逆浸透膜浄水器で除去する事が出来ます。

PFOS、PFOAを含めた有機フッ素化合物(PFAS)全般について逆浸透膜浄水器で除去する事が出来ます。また、PFOS、PFOAに限定すれば一般的な浄水器でも除去する事が出来ます。それは殆どの浄水器にフィルターとして使用されている活性炭でPFOS、PFOAを吸着除去出来るからです。

弊社では一般財団法人千葉県薬剤師会検査センターでPFOS、PFOAについて除去性能試験を行いました。

この試験は弊社逆浸透膜浄水器ACRT-550MPSを千葉県薬剤師会検査センターへ持ち込み検査センターの管理下で行われた厳格な除去性能試験です。

試験結果から

PFOS、PFOSの除去率 99.16%

PFOS単体の除去率 98.33%

PFOA単体の除去率 98.18%

の結果となりました。逆浸透膜浄水器を通過した浄水の計量分析結果がいずれも検出限界以下と、浄水にPFOS,PFOAが検出出来ない結果でしたので、試験原水濃度と検出限界値から除去率を計算しています。

今回のPFOS.PFOAの試験結果については予想通りの結果となりました。

逆浸透膜浄水器にはプレフィルターとして活性炭フィルターが装備されていますので、PFOS,PFOAについては逆浸透膜フィルター手前の活性炭フィルターで、その多くが吸着されます。活性炭をすり抜けたPFOS,PFOAは逆浸透膜フィルターで95%位の除去率で分離除去され、もし逆浸透膜フィルター通過後にPFOS.PFOAが微量残留したとしても最後のポストカーボン(活性炭)フィルターで除去されます。

弊社では以前にフッ素単体の除去性能試験も行っています。今回と同様に千葉県薬剤師会検査センターへ逆浸透膜浄水機を持ち込み、検査センターが用意した超純水へフッ素を溶かした原水を使用して行われた検査です。

フッ素単体の試験は水道水質基準項目の「フッ素及びその化合物」の試験として行いました。フッ素及びその化合物の中で一番小さいフッ素単体の除去性能試験は、一番条件の厳しい試験となりますので、フッ素単体よりも分子構造の大きなPFAS(有機フッ素化合物)についてはフッ素単体より高い除去率を予想していました。

永久化学物質と呼ばれるPFOS.PFOA等の有機フッ素化合物PFAS

PFOS=ペルフルオロオクタンスルホン酸 代表的な使用方法は紙や布の撥水加工剤や泡消火剤として使用されてきた様です、同様の物質にPFOA=ペルフルオロオクタン酸があり、これはフライパンのテフロン加工(フッ素樹脂加工)の製造過程に使用される物質でどちらもWHOなどから人体への危険性が指摘され現在では使用されていない物質です。

PFOSは2010年にPFOAは2021年に製造輸入が原則禁止されていて、PFOAについては2013年末に国内企業の自主的な取り組みとして国内での使用が全廃されています。

現在では殆ど使用されていないとされるPFOS.PFOAなのですが、米軍基地周辺の河川から高濃度に検出される事例があり、その原因は不明とされていますが、米軍基地内で行われる消火訓練で使用される泡消火剤が周辺河川や地下水へ流出したと推測されています。

PFOSが含まれる泡消火剤については2024年9月末までに国内施設及び米軍基地施設もPFOSを含まないものへ入れ替えられる予定です。

ここでフッ素、PFOS関連のワードを整理してみます。

水道水質基準項目には「フッ素及びその化合物」が規定されていて、基準値は0.8mg/リットルです。フッ素及びのその化合物は、フッ素単体、フッ素と他の元素が化合して出来た化合物全般を指します。フッ素化合物の中で炭素を含むものを「有機フッ素化合物」と言いまして、それをPFASと言います。

フッ素と炭素の強力な結合を利用した有機フッ素化合物PFASは非常に便利な素材で水や油を弾く撥水剤、自動車のワックス、高耐久性の塗料など生活必需品として利用されています。この有機フッ素化合物全てが有害性を持つのでは無く、その中にはPFOS.PFOAの様な人体に有害な有機フッ素化合物も有るとお考え下さい。

PFASは永久化学物質とも言われ難分解性で、その種類は10000種類以上とも言われ、その全てが人為的に作り出された物質です。

その中の有機フッ素化合物=PFASの一種であるPFOS.PFOAが現在問題となっている有害物質です。

PFOS.PFOAの浄水方法についてはEPA(米国環境保護庁)の見解

PFOS.PFOAの浄水方法についてはEPA(米国環境保護庁)のホームページに記載がありました。詳細をご覧になりたい方はEPAホームページの原文を翻訳してご覧下さい。

内容を要約すると、PFOS.PFOAについては分子構造が大きいので活性炭フィルターの浄水器で100%近い除去が出来る。但しフィルターの耐用期間により適切な交換が必要です。一方で、PFBSなど分子構造が小さい有機フッ素化合物についての吸着はあまり期待出来ない、とされています。

PFOS.PFOAに限定すれば逆浸透膜浄水器まで使用しなくとも、活性炭フィルターが装備されている一般的な浄水器で充分な除去効果が期待出来そうです。但し、PFBSなども含めた有機フッ素化合物(PFAS)全体についての除去を求めるならイオン交換樹脂での吸着除去か逆浸透膜浄水器での浄水となり、逆浸透膜浄水器なら分子構造の小さな有機フッ素化合物やフッ素単体でも90%位の除去が可能です。

フッ素は非常に反応性の高い物質ですので、フッ素単体で自然界に存在する事は稀ですから、フッ素にいくつかの原子が結合した状態の化合物の形で存在します。pfosも全体で22個の原子で構成されています。

PFAS(有機フッ素化合物)についての弊社見解

PFOS.PFOAに限定するならば、一般的な浄水器でも適切にフィルター交換を行っていれば充分な除去効果が見込める一方、PFAS(有機フッ素化合物)全般に対しての除去を行いたいと考えれば逆浸透膜浄水器かイオン交換樹脂浄水器が必要となります。

一万種類以上有るとされるPFASの中でPFOS,PFOAだけに毒性が有り、その他一万種類のPFASは安全と考えるのは無理がありますが、使用量の問題で顕在化しているのがPFOS,PFOAなのでしょう。

PFOS,PFOAの規制数値

日本の水道管理暫定目標値はPFOS,PFOAの合計で50ナノグラム/リットルと定められました、今後、水道水質基準項目に加えられるそうです。

50ナノグラムをmgで表現すると0.00005mgと大変に微量ですが、PFOS,PFOAの規制値が小さいのはそれだけ毒性が高く見積もられているという事です。米国ではもっと厳しく、PFOS,PFOAをそれぞれを4ナノグラム以下と定めています。これはもう、PFOS,PFOAが存在してはいけない、といった基準の様にも見えます。

WHOではPFOS,PFOAそれぞれ100ナノグラム以下が提案されています。

水道水は基本的に近くの水源(河川、地下水)から作りますから米軍基地周辺や東京都の河川、地下水の流れる方向を考えると米軍横田基地より東側に居を構えていらっしゃる方にとっては不安に思われるのだと思います。

但し、現在ではPFOS,PFOAとも殆ど環境中に放出されていませんので、永久化学物質とは言われますが環境調査での数値は年々減少傾向にあります。

逆浸透膜式の浄水器は物理的に非常に細かいフィルター(逆浸透膜)で不純物を分離して純水を作る浄水器です。水に溶けたアニオン(負の電荷を持つ物質)、カチオン(正の電化を持つ物質)に水分子が電気的にくっつく水和の力を利用して不純物を分離します。

逆浸透膜浄水器の分離メカニズム

逆浸透膜浄水器(RO浄水器)のアクアカルテック